2015年11月のご報告

---------------------------------------------------
◆ 11月の活動報告 *抜粋
---------------------------------------------------
11/3(火)-8(日) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 東白川村公演
11/10(火) 第2回経営懇談会
     「激減するクラシックファンをどう拡大するか?~宣伝の現状と費用対効果~」のテーマで協議しました。
11/12(木) 文化芸術推進フォーラムシンポジウム「文化省創設への道筋」
11/13(金) Y-Classic第2回委員会
      今年度のY-Classic調査研究の報告と、今後の取り組みについて意見交換を行いました。
11/13(金) 「クラシック・コンサート制作 基礎講座」開催に向けた調査研究委員会
      今年度の基礎講座の開催に向けて、内容等について委員会で検討がなされました。
11/17(火)-22(日) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 美濃加茂市公演
11/18(水) [協会受託事業]宝くじドリーム館(東京)ランチタイムコンサート
     出演:奈良 希愛/ピアノ(ミリオンコンサート協会所属)
11/19(木) [協会受託事業]宝くじドリーム館(大阪)トワイライトコンサート
     出演:Buzz Five/金管五重奏団(プロ アルテ ムジケ所属)
11/24(火) 三役会
      半期決算報告、各種事業の進捗状況等について協議しました。
11/24(火)-28(土) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 関市公演
     
---------------------------------------------------
◆ 12月の予定 *抜粋
---------------------------------------------------
12/1(火)-5(土) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 岐南町公演
12/16(水) [協会受託事業]宝くじドリーム館(東京)ランチタイムコンサート
12/17(木) [協会受託事業]宝くじドリーム館(大阪)ランチタイムコンサート
12/28(月)~12/31(木) 事務局年末年始休業

宝くじドリーム館(大阪)ランチタイム・コンサート vol.8

2015年12月17日(木)12時より、宝くじドリーム館(大阪)にて、ランチタイムコンサート(プレミアムクラシック)vol.8が行われました。(本会企画制作事業)

タイトル「ハッピー・ミュージカル・アワー」
出演:小野 明子(ヴァイオリン)、菊池 洋子(ピアノ)

写真右より:小野 明子さん(ヴァイオリン)、菊池 洋子さん(ピアノ)

宝くじドリーム館(東京)ランチタイム・コンサート vol.8

2015年12月16日(水)12時より、宝くじドリーム館(東京)にて、ランチタイムコンサート(プレミアムクラシック)vol.8が行われました。(本会企画制作事業)

タイトル「フルート サックス ピアノが奏でる音のプレゼント ~年末ジャンボ コンサート~」
出演:田中 靖人(サックス)、荒川 洋(フルート)、新居 由佳梨(ピアノ)

写真左から:荒川 洋さん(フルート)、新居 由佳梨さん(ピアノ)、田中 靖人さん(サックス)

宝くじドリーム館(大阪)トワイライト・コンサート vol.7

2015年11月19日(木)16時より、宝くじドリーム館(大阪)にて、トワイライトコンサート(プレミアムクラシック)vol.7が行われました。(本会企画制作事業)

タイトル「1 回聴いたら止(や)められん、金管アンサンブルのテーマパーク」
出演:Buzz Five(金管五重奏団)

写真左から:加藤直明さん(トロンボーン)、上田じんさん(トランペット)、石丸薫恵さん(テューバ)、友田雅美さん(ホルン)、小川聡さん(トランペット)

宝くじドリーム館(東京)ランチタイム・コンサート vol.7

2015年11月18日(水)12時より、宝くじドリーム館(東京)にて、ランチタイムコンサート(プレミアムクラシック)vol.7が行われました。(本会企画制作事業)

タイトル「お昼休みに、希愛センセとちょいとヨーロッパへ?!」
 出演:奈良 希愛(ピアノ)

奈良 希愛さん(ピアノ)

2015年10月のご報告

---------------------------------------------------
◆ 10月の活動報告 *抜粋
---------------------------------------------------
10/1(木) 平成27年度第2回定例理事会
     終了後、理事各位による理事懇談会も開催されました。
10/2(金) 芸団協シンポジウム「アニメーターや実演家の育ち方」 (出席:丹羽理事・事務局長)
10/7(水) 広報紙編集ミーティング(出席:徳永専務理事、丹羽理事・事務局長)
10/13(火)-18(日) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 下呂市公演
10/20(火) 公共ホール音楽活性化事業アウトリーチカフェ
     (出席:丹羽理事・事務局長、公共ホール音楽活性化事業参画アーティスト各位)
10/21(水) [協会受託事業]宝くじドリーム館(東京)ランチタイムコンサート
     出演:大森 潤子/ヴァイオリン(ミリオンコンサート協会所属)、
        白石 光隆/ピアノ(プロ アルテ ムジケ所属)
10/22(木) [協会受託事業]宝くじドリーム館(大阪)ランチタイムコンサート
     出演:大熊 理津子/マリンバ(プレルーディオ所属)、他
10/27(火)-11/1(日) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 飛騨市公演
     
---------------------------------------------------
◆ 11月の予定 *抜粋
---------------------------------------------------
11/3(火)-8(日) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 東白川村公演
11/5(木) 劇場・ホール2016年問題記者会見(主催:芸団協 他)
11/10(火) 第2回経営懇談会
11/12(木) 文化芸術推進フォーラムシンポジウム「文化省創設への道筋」
11/13(金) Y-Classic第2回委員会
11/13(金) 「クラシック・コンサート制作 基礎講座」開催に向けた調査研究委員会
11/17(火)-22(日) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 美濃加茂市公演
11/18(水) [協会受託事業]宝くじドリーム館(東京)ランチタイムコンサート
11/19(木) [協会受託事業]宝くじドリーム館(大阪)トワイライトコンサート
11/24(火) 三役会
11/24(火)-28(土) [協会受託事業]公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 岐阜セッション 関市公演

Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:公演レポート《子どもを連れてクラシック「音楽と絵本」コンサート》


ト ッ プ公 演 一 覧過 去 公 演公演レポ−ト

 公演レポート◉                                 
トリトン・アーツ・ネットワーク
子どもを連れてクラシック
『音楽と絵本』コンサート
2015年9月26日(土)

絵本と室内楽との組み合わせで
親子の心をつかむ子育て支援の音楽会〜 
                                          
  シリーズから人気コンサートの再演を
 認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク主催の「子どもを連れてクラシック 『音楽と絵本』コンサート」は、第一生命ホールのステージ上の大型スクリーンに絵本が映し出され、朗読に合わせて生演奏がつけられるという大迫力のコンサートです。これは毎年3月に行われている「子育て支援コンサート」の一部を再演したものです。3月の公演では、前半に子どもたちがスタジオで楽器を間近に聴く体験をし、それと同時に親御さんだけがゆっくり楽しむ大人のためのコンサートが開かれます。後半は親子が揃って音楽と絵本のコンサートを楽しむという流れ。今回9月に取材した「『音楽と絵本』コンサート」は、3月公演の後半部分を再演したものです。2009年に制作された『くものすおやぶんとりものちょう』が、6年ぶりに披露されました。

  楽器の音を楽しむ 
 92614時から行われた「『音楽と絵本』コンサート」は2部構成になっており、第1部は弦楽四重奏クァルテット・エクセルシオとオーボエの古部賢一さん、ピアノの小坂圭太さんによるクラシック音楽のステージ。第2部が目玉である絵本に生演奏をつけたステージです。
 第1部は「色々な楽器の音色を聴いてみよう」をテーマに進められていきます。客席、舞台袖から演奏者が弾きながら登場。子どもたちはきょろきょろとしながら奏者を目で追っていました。ステージ上に奏者が揃うと、弦楽器の大きさの違いや音色の違いを子どもたちに問いかけながら丁寧に紹介されました。楽器の名前を答えたり、音の高低を答えたりと元気に参加する子どもたちの姿が見られました。
 © 大窪道治
 楽器ごとの違いを学んだあとは、弦楽四重奏で「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の鑑賞です。続いてオーボエの楽器紹介に移ります。古部さんが実演を交えながら吹き方を説明し、オーボエソロの曲の演奏へ。繊細な音に会場全体が静まり、子どもたちも耳を澄まして演奏に集中しているようでした。そこへ弦楽器が加わったオーボエ四重奏で、音の広がりを感じさせていました。
 続いてピアノの楽器紹介を行い、ソロ曲の後に弦楽器が加わったピアノ五重奏曲をもう1曲。このように、楽器紹介、ソロ演奏、ソロと弦楽四重奏での合奏という流れで、第1部のテーマ「色々な楽器の音色を聴いてみよう」が活かされていました。楽器構成によって音に変化を与えることで子どもたちは飽きることなく耳を傾けていたようです。
© 大窪道治

  絵本を生演奏にのせて
 20分の休憩を挟み、第2部はコンサートの目玉である「音楽と絵本」のステージです。休憩時間にステージには大きなスクリーンが設置され、会場のわくわく感が高まりました。今回取り上げられた絵本は「くものすおやぶんとりものちょう」(秋山あゆ子著、福音館書店)。大きなスクリーンに映し出される絵と飯原道代さんの朗読により、会場は一気にお話しの世界へと引き込まれていきます。絵本の場面に合わせて有名曲が演奏されていきます。演奏が入る場所も曲もお話しにぴったり合っており、絵本のもつ面白さを高め、客席全体が一体となってハラハラドキドキしながら楽しんでいる様子。中でも、絵本のページの中から隠れている登場人物を探すシーンでは気持ちを煽るような音楽演奏も相まって「いた!」、「あそこ!」と子どもたちも指さしをしながら真剣になって探していました。
© 大窪道治
© 大窪道治
 
■子どもの楽しみ方、大人の楽しみ方
 コンサートは全体で1時間半。約45分間の第1部に対し、第2部は約25分間。絵本の選定から曲の選定まで主催者と演奏者が一丸となって行っているという力の入った第2部は、終演後にインタビューした子どもたちの間で「絵本の探す(ページに隠れた登場人物を探し出す)ところが面白かった」、「楽しかった」と大人気でした。会場の雰囲気に合わせて盛り上がりみせる生演奏があることで、子どもたちをしっかりお話しの世界に連れていくことができたのでしょう。
 また、ピアノを習っているという小学2年生の男の子は「ピアノ、早く弾いていてすごかった!」と第1部の魅力も自分の経験とつなげて感じているようでした。そして、「1部が良かったですね。クラシック音楽を聴く機会がなかなかないので」とお話ししてくれたお父様や、「子どもがいるとなかなかコンサートには行けないので、演奏を楽しめて子どもは絵本を楽しめて…」とお話ししてくれたお母様がいるように、子どもはもちろん、保護者の方、大人も楽しめる構成になっていました。





協賛:第一生命保険株式会社
後援:中央区・中央区教育委員会
協力:株式会社 福音館書店
文化庁 平成27年度「劇場・音楽堂等活性化事業」



Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:主催者インタビュー《子どもを連れてクラシック「音楽と絵本」コンサート》


ト ッ プ公 演 一 覧過 去 公 演公演レポ−ト

 ◉主催者インタビュー                              
  トリトン・アーツ・ネットワーク
「子どもを連れてクラシック
          『音楽と絵本』コンサート」
2015年9月26日(土)公演
お話いただいた方:トリトン・アーツ・ネットワーク 田中玲子様  高田美弥子様
                                                                              インタビュー日:2015年10月8日(木)
——今回取材させていただいた「子どもを連れてクラシック『音楽と絵本』コンサート」について、企画から当日までの流れを教えていただけますか。
トリトン・アーツ・ネットワークでは、毎年3月に「子育て支援コンサート(旧育児支援コンサート)」を行っています。このコンサートは、第1部では親子が別々に音楽を楽しむ企画になっています。子どもは4つの「音楽スタジオ」に分かれて楽器を間近に体験します。その間、親御さんは、ホールでコンサートをゆっくり楽しみます。子育て中には音楽をゆっくり楽しむ時間がなかなか取れない親御さんが多いので、大変喜ばれています。
第2部では、親子が一緒になって、「音楽と絵本」のコンサートを楽しみます。絵を巨大スクリーンに映し、物語に沿って音楽が演奏されるという公演です。ご出演くださる演奏家さんと絵本選びや選曲など、毎回1から一緒に考えていきます。出演者の方々とは、何度も打ち合わせを重ねます。1つの公演の準備に、おおよそ、1年半はかかるでしょうか。予算面で限りはありますが、演奏家の創意工夫や熱意のおかげで、いつも予想もしなかったような素晴らしい公演が出来上がります。それを1度きりで終わらすのはもったいないという思いがあって、今回は2009年に制作された「くものすおやぶんとりものちょう」を再演したのです。



——3月の「子育て支援コンサート」は大規模のようですね。多くの人員が必要だと思うのですが、当日のスタッフはどのように確保されているのでしょうか。
「音楽スタジオ」では4歳から6歳のお子さんをお預かりしますので、様々なことに配慮が必要な企画です。小さな子どもにとっては親と離れてお友達もいないところで音楽を体験するのは、勇気のいることだと思います。最初は泣いちゃったりしますよね。ですから、保育園に入ったばかりのお子さんでも集団生活に少し慣れた頃の年度末3月に開催しています。スタッフは各スタジオに10人以上必要です。トリトン・アーツ・ネットワークでは、「サポーター」と呼ぶボランティアスタッフを毎年募集しています。お子さんの手が離れた方や、時間に少し余裕のあるお仕事をリタイアされた方々が多いですね。第一生命ホールの周辺地域の方がほとんどですが、県外からお越し下さっている方もいます。この公演は、彼らの多くが関心をもって下さり、その協力があって実現している公演です。また、第一生命の社員さんも、当日はボランティアとして参加下さいます。



——多くのスタッフの指揮をとるのも工夫が必要ですね。
サポーターさんの中には、第1回の「育児支援コンサート」から続けてくださっている方もいて、彼らは当日の動きや情報の伝達といった必要なことを分かって下さっています。毎年、反省点や改善点を振り返りますから、経験も積み重なっていきます。頼れるベテランさんを筆頭にみなさんがまとまってくださるので、私たちも信頼を寄せています。



——トリトン・アーツ・ネットワークでは、3歳以下のお子さんを対象とした「ロビーでよちよちコンサート」も企画されていますね。こちらには、また違った工夫があるのではないでしょうか。
乳幼児から入場可能としている公演でも、実際に赤ちゃんが泣いてしまうと、親御さんは他のお客さんを気遣って会場から出られることが多いです。また、せっかく楽しむために来たはずなのに、他のお子さんと自分のお子さんのお行儀を比べてしまい、申し訳がなさそうに会場を後にする親御さんもいらっしゃいます。トリトン・アーツ・ネットワークでは、お客様にそんな思いをさせたくないという思いから、年齢によってコンサートを分けることにしました。「ロビーでよちよちコンサート」は3歳以下のお子さんにのびのびと安全に楽しんでもらえる企画です。



——お客様からの反響、例えばアンケートの回答結果はどのように反映されているのでしょうか。
インターネットを通したチケットの購入記録から、お客様の地域や性別、年代などの割合をみます。コンサートのプログラムに挟むアンケートでは、コンサート内容に関するお客様の生の声を寄せていただいています。例えば、「子育て支援コンサート」は、先ほど申しましたように、第1部で親子が別々に音楽体験をすることが特徴です。けれども、もしかすると、子どもを平日保育園や幼稚園に預けている親御さんが増えた昨今では、わざわざ子どもと離ればなれにしないで、ずっと一緒に演奏を聴くような企画の方が喜ばれるのではないかという迷いも私たちの間に生じていました。ところがアンケート回答によると、子どもには「音楽スタジオ」で特別な体験をさせたいし、別々に聴く体験があるからこそ、子どもと一緒に聴く時間もより満たされた気持ちで楽しめる、というような回答をいただいて、やはりよかったのだと自信を与えていただきました。お客様のご要望も、どんどん企画の内容に反映させていこうという思いでやっています。



——こうした子ども向けコンサートの宣伝については、どのようになさっているのでしょうか。
第一生命ホールがある地域近郊には、新聞折り込みのチラシを入れていますし、また、中央区立の全小学校と江東区豊洲の小学校、近隣の幼稚園でもチラシを配っています。小学校ではアウトリーチ活動を行っていますので、その体験とチラシを通して親御さんが公演を知る、という流れが多いようです。



——こうしたコンサートに出演した演奏家の方たちの意識も変わってきそうですね。
初めて子ども向けのコンサートに携わられたという演奏家の方が、企画の考案を含めてとても楽しんで下さったり、また、他の子ども向けコンサートにも足を運んで勉強してくださったりと、本当に、どんどん熱意が膨らんで、伝播していくようです。お客様と、演奏家との相互作用、相乗作用が公演を通して起こっていると感じます。




——企画が長く続く秘訣は、過去の成功の形を守ることだけでなく、毎回手間を惜しまずに、丁寧にお客様の気持ちに寄り添ったコンサートを作っておられるところにありそうですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。





Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:公演レポート《仙台クラシックフェスティバル2015》


ト ッ プ公 演 一 覧過 去 公 演公演レポ−ト


 公演レポート◉                                 
仙台クラシックフェスティバル2015
2015年10月2日(金)〜10月4日(日)公演

〜仙台に根付いた秋の風物詩、  
10周年を迎えた音楽祭は子ども向け公演も充実〜 
                                          
 もはや秋の風物詩としてすっかり定着した仙台クラシックフェスティバル、通称「せんくら」。会期中の3日間は、市内のあちこちにクラシック音楽が溢れます。10周年の節目となった今年は、3日間で延べ約37,400人を動員。チケットは86公演中51公演が完売と、大盛況のうちに終了しました。
 「クラシックって、ちょっと敷居が高いかも……?」そんなイメージを「せんくら」は見事に覆しています。クラシック音楽のイベントとしてこれほど広く支持を得ている理由はどこにあるのでしょうか。今回の取材では、「子ども向け」と冠した公演に注目し、その秘密を探ります。


■「せんくら」とは?
 初めて「せんくら」を訪れた方は、パンフレットを見て思わず眼を疑うことになるでしょう。
 クラシックの“超”有名アーティストをはじめ宮城県内外を問わずさまざまな音楽家、グループが並び、プログラムも名曲揃い。朝から晩まで、3日間で86もの公演が市内の4ヶ所10会場で行われます。チケットは、なんと10002000円という破格の値段で、公演時間も45分または60分に統一。コンサートの「はしご」も出来るように、各会場の公演時間帯がなるべく被らないように工夫されています。さらに、全体のうち約7割のコンサートが、対象年齢の下限を “3歳”に設定しており(!)、“0歳”としている公演も7つ設けています。
 気楽にクラシックを楽しみたい方から、「はしご」をして堪能し尽くしたい方まで。ひとりで音楽に浸りたい方から、家族で楽しみたい方まで。パンフレットを見ただけでも、「あらゆる人のニーズに応えたい」、そして「とにかく気軽にクラシック音楽を聴いて欲しい」、という思いがビシビシと伝わってきます。


■こども向けコンサートに注目
 今回取材させていただいた公演は、音楽祭初日(102日)に行われた、仙台チェンバーアンサンブルによる「0歳からのコンサート」(公演番号14)と、宮城教育大学リコーダーすによる「小学生のための−放課後の音楽室−リコーダーのホントのステキなところ」(公演番号16)の2公演です。


■赤ちゃんもいっしょに、室内楽の響きを堪能
 「0歳からのコンサート」は親子連れで満席。「0歳から」と銘打たれているとおり、まだ生まれたばかりの赤ちゃんもたくさんいらっしゃいました。仙台チェンバーアンサンブルの編成は、ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・フルート・クラリネット・打楽器・ソプラノ。
「まだ小さいのにちゃんと楽しめるだろうか?」そんな不安も、一曲目が終わると同時に消えてしまいました。プログラム運びは「見事!」としか言いようがありません。45分間、全員が演奏に夢中でした。印象深かった3つの工夫を紹介させて頂きます。

その①「一曲の時間は長すぎず。曲間には必ずトークが挟まれる」
 45分で9曲。一曲あたり23分で、曲の前後には演奏される楽器の名前や、曲の聴きどころを面白おかしく説明してくれるので、こどもたちも集中して聴くことが出来ます。
「会場で配布されたプログラムより」

その②「こどもを巻き込んで演奏」
 2曲目が終わったあと、演奏者から衝撃の一言。
「歌っても、踊っても、走ってもいいよ!」
その言葉で、ちょっと緊張気味だったこどもも皆一斉に立ち上がり、思い思いに音楽を楽しむように。「一緒にリズム!コーナー」では、曲に合わせて手拍子。「トントンパッ!」「トンパットンパッ!」。すこし難しいリズムになっても、皆さん完璧にクリアしていました。
 曲のワンフレーズを聴かせて、「これはどんな動物の鳴き声かな?」というクイズもあれば、「どんぐりころころ」を全員で歌うコーナーも。「演奏者のそばで聴いてみよう!」のコーナーでは、こどもたちは我先にと席から立ち上がり、それぞれの場所で楽器を間近で体感しました。

「楽器を間近で体感する子どもたち」

その③「大人も楽しめるプログラム」
 「大人は子どもの付添い」。子ども向けコンサートにはこんなイメージを抱きがちですが、このプログラムは決して子どもだけを対象にしているわけではありません。クラシックの生演奏をゆっくり聴いて、リラックスされた方も多いのではないでしょうか。また、すべての曲がどこかで聴いたことのある名曲で揃えられているので、「たまに耳にすることがあるけど、曲の名前は今回初めて知った」といったようにクラシックの勉強にもなります。最後はソプラノ独唱による「きっと幸せ(お母さんたちへ)」、子育てで忙しいお母さん方を元気づける曲で締められました。
  

■学校で習うリコーダーが魅力的に響く!
 もうひとつの公演は、「宮城教育大学リコーダーず」による「小学生のための−放課後の音楽室−リコーダーのホントのステキなところ」。パンフレットには「ぜひリコーダーをご持参ください!」とあります。

「ステージ上には、『リコーダーの歴史』が展示されている」

 会場はリコーダーを持った小学生たちでいっぱい。公演の一曲目は「ピタゴラスイッチのテーマ」。テレビで聴くメロディーの生演奏に、みんな大興奮。バスリコーダーや、ソプラニーノリコーダーといった、今まで見たことのない楽器にも興味シンシンです。
 こちらの公演にも、さまざまな工夫が随所に散りばめられています。曲紹介はもちろんのこと、リコーダーの解説コーナーや、途中から現れた「リコーダー博士」による世界の笛紹介コーナー(なんと角笛も登場)、さらにリコーダーの裏技テクニック伝授コーナーまでありました。
「会場で配布されたプログラムより」
「リコーダー博士による演奏テクニックの伝授も」

 メインはやはり、小学生全員によるリコーダーアンサンブル。リコーダー博士が出す指示を皆さん完璧にこなします。会場をふたつのチームにわけて、メロディーの追いかけっこにも挑戦。それぞれが忠実に自分のパートに集中して、会場を美しいハーモニーで彩りました。
 公演全体を通して印象に残ったことは、宮城教育大学リコーダーずの皆さんがこどもたちのやる気をとても上手に引き出していたところ。演奏者としてステージにとどまることなく、積極的に客席に向かい小学生とコミュニケーションを取っていました。
 公演終了後は、演奏で実際に使われた楽器の体験会が開催されましたが、来場した小学生のほぼ全員が残って、それぞれが気になったリコーダーを体験しました。

「リコーダー体験に並ぶ子どもたち」


■来場者の方の声を聞きました
Q:子ども向けコンサート」で印象に残った点はありますか?
A:「子どもが楽しめるリズムの曲が多かったし、一曲あたりの時間も短かったのでとても楽しんでいた」
「小さな子どもがたくさんいらっしゃったので、気兼ねせず楽しめた。演奏者のリードもとても良かった」
「こういう公演がもっとあればいいなと思う」


本当に「0歳」のお子様も会場にはいらっしゃいましたが、楽しくリズムを取って楽しんでいたようです。ママ友を誘い合って来られた方もたくさんいらっしゃいました。赤ちゃんもママもみんな笑顔で会場を後にする姿が印象的でした。




主催:仙台市、公益財団法人仙台市市民文化財団、公益財団法人仙台フィルハーモニー管弦楽団、公益財団法人音楽の力による復興センター・東北、株式会社河北新報社、株式会社宮城テレビ放送、仙台市交通局
制作協力:公益財団法人ジェスク音楽文化振興会、株式会社HAL PLANNING





Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:主催者インタビュー《仙台クラシックフェスティバル2015》


ト ッ プ公 演 一 覧過 去 公 演公演レポ−ト


 ◉主催者インタビュー                              
仙台クラシックフェスティバル2015
2015年10月2日(金)〜10月4日(日)公演

お話いただいた方:
公益財団法人 仙台市市民文化事業団 コンクール推進課
音楽振興係長 丹野裕子様(写真:左)
音楽振興係 松本俊幸様(写真:右)
                                                                         インタビュー日:2015年10月2日(金)
■とにかく気楽に楽しんで頂けるイベントに■
 ——「せんくら」では、0歳もしくは3歳から入場可能な公演を数多く設けていますが、そのねらいは何ですか?
 開催当初から一貫しているコンセプトは、「クラシック音楽を気楽に楽しんで頂きたい」ということ。特に家族連れにとっては、クラシック音楽のコンサートに足を運ぶのはかなりハードルが高いことのように思われます。対象年齢の下限の低さ、一公演あたりの料金は1000〜2000円、公演時間も45分か60分に統一、といったような「せんくら」ならでは取組みは、家族連れでも楽しめるクラシック音楽のイベントでありたいという強い思いがあるからこそ実現しているものだと思います。





 ——小さな子どもがたくさん来場するからこそ必要な気遣いなどはありますか?
 子ども向けの公演会場には、子どもたちへの対応についてさまざまなノウハウをお持ちの子育て支援団体「特定非営利活動法人 MIYAGI子どもネットワーク」のスタッフに協力をお願いさせて頂きました。
 また、「たまには一人でゆっくりクラシックを楽しみたいけど、まだ小さい子どもがいるから……」といった親御さんのために、全会場に託児所を設置しています。



■大人気の「子ども向け」公演■
——「子ども向け」と冠した公演はどれも大盛況でした。広報するにあたって工夫したことはありますか?
 「せんくら」は公演数が多く、子ども向けコンサートの情報が埋もれてしまう恐れがあるので、子ども向け公演をピックアップしたチラシを別途作成して、近隣の学校へ配布させてもらっていました。過去には小児科に広告を貼らせて頂いたこともあります。また、子育て情報誌による公演情報や託児案内の掲載や、口コミも大きな効果があったように思います。


——広報開始のタイミングなどはいつ頃ですか?
 チケット発売開始の1ヶ月前にパンフレットの配布を始めます。市の施設や、会場沿線の地下鉄駅にも配置し、遠方のお客様向けとしてホームページでパンフレット送付の受け付けも行いました。
 ただ、お子様の体調を心配して、親御さんは2、3ヶ月先のチケットは前もって買いづらいというのが少し懸念しているところです。



 ——子ども向けコンサートを開催することにハードルはありましたか?
 かつては「0歳から」と冠したコンサートには、内部で反対意見が出たこともあります。通常のコンサートのように演奏を楽しみたい方もいらっしゃるなか、小さなお子様はどうしても動いたり、泣いてしまったりしますので。しかし、それでも続けてみた結果、「こういうコンサートもあっていいじゃないか」という理解が、運営側にもお客様の間にも広がって行きました。リピーターのお客様も多くいらっしゃいます。
 また、アーティストの方には、出演交渉の段階で「子ども向け」であるという公演コンセプトをしっかりと共有させて頂いています。その上で、演出やプログラムなどはアーティストの方にお任せしています。




■驚きのチケット価格。
運営するにあたっての工夫は!?■
——チケットは破格の値段なのに、これだけ充実したプログラムを実現できるのは何故なのでしょうか?
 出演者をはじめ、関係者の皆様のご協力はもちろんですが、事務局職員も企画立案するだけでなく、荷物の運搬や装飾物の製作など、出来ることは極力自分たちで行い、制作費を抑えています。しかし、何より運営する上で欠かせないのが、ボランティアの方々の協力です。会場スタッフの多くはボランティアにお願いしています。会場の装花、場内アナウンス、公式カメラマンも、みんなボランティアの方々によるものです。


——ボランティアの協力体制が成功している様子は、会場の和やかな雰囲気からも伝わりました。
 「せんくら」開催当初は、試行錯誤しながらボランティアによる運営の仕組みを作っていました。いまでは、ボランティアの方々の中には、イベントを支えることに対するやりがいや、来場者からのねぎらいの言葉をモチベーションにして協力して下さっている方も多く、もはやボランティア・スタッフなくして「せんくら」は成立しえないと言っても過言ではありません。



——お忙しい中、インタビューに応じていただきありがとうございました。



■さいごに■
今年で10周年を迎え、公演の内容や規模もますます充実してきた「せんくら」ですが、それも出演者、職員やボランティアの方の地道な努力や工夫があってこそ。特に子ども向けコンサートへの取り組み方は参考になるところが多いのではないでしょうか。こうしたイベントが全国のいたる所で開催されるようになれば、今回「子ども向けコンサート」に参加した子どもたちが大人になる頃には、クラシック音楽をもっと近くに感じられる社会になっているかもしれません。








Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:主催者インタビュー《東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」》


ト ッ プ公 演 一 覧過 去 公 演公演レポ−ト


 ◉主催者インタビュー                              
東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」
20157月4日(土)公演

お話いただいた方:
サントリーホール 企画制作部 プログラミング・ディレクター 安孫子実奈様 (写真:左)
東京交響楽団 支援開拓本部 本部長 梶川純子様 (写真:右)
                                                                         インタビュー日:2015年8月12日(水)


●こども定期演奏会のはじまり●
――長い歴史を持つコンサートという印象を受けましたが、どのようにはじまったのですか?
安孫子:サントリーホールでは1986年開館当初から次世代を担うこどものためのコンサートを開催してきました。一方東京交響楽団は1978年から「少年少女のための夏休み・春休みコンサート」を始めてオーケストラの聴衆層を拡大してきました。東京交響楽団の当時の専務理事・楽団長の金山茂人氏と事務局の中塚博則氏が「こどもを対象とした新しいタイプのコンサート」を考え、サントリーホールに提案されました。そのコンセプトに、サントリーホールはすぐに賛同し2001年のプレ公演を経て、2002年から開始しました。
開始から12年間は指揮者の大友直人さんが年間を通して指揮とMCを務めていました。子どもたちが定期的にホールに来て演奏会に親しめるようにと、プログラムの構成などはもちろん、「国」や「時代」など、音楽に関連することも知ってほしいという願いから、毎年テーマを決めて開催してきました。「定期的」ということで春夏秋冬1度ずつお越し頂けるよう、年4回としました。現在は大人向けの定期演奏会と同じように、指揮者を毎回変えています。一方統一感も大事にしたいので、アナウンサーの方にMCをお願いしています。



ーー後援に東京都小学校音楽教育研究会と港区教育委員会がついていますね。
安孫子:東京都小学校音楽教育研究会には、以前にファミリー向けコンサートの学校での配布などでご協力頂いたことがあり、2011年度から、港区教育委員会は、サントリーホールの地元、港区の小学生に聴いてほしいという願いから後援を申請し初年度から、応援して頂いております。



●主催者として工夫していること● 
――来場の子どもたちはコンサート中静かに集中して聴いているという印象を受けたのですが、主催者としてコンサート中に気をつけていることはありますか?
安孫子:奏者の思いや音楽の魅力等の話を挟み、子どもたちの聴くモチベーションを高めています。子どもは先入観がないので、知らない曲でも受け入れることが出来るようです。

梶川:子ども向けだからといって選曲を分かりやすい名曲だけにするといったことは特にしていません。「こども定期演奏会」の開始当初から大友直人さんが大切にされていた「子どもを子ども扱いしない」という精神が今も生きています。ただし1曲は長くても15分以内に収まるようにしています。


――大人向けのコンサートと違う点で苦労すること、また工夫していることはどのようなことですか?
梶川:対象年齢を過ぎた子どもたちはこのコンサートを卒業してしまうので、常に新しいお客様に来て頂かなければならないので、そこは苦労するところです。しかし、こども定期は東京交響楽団とサントリーホールの共催であるという点が大きな特徴です。ホールのお客様と、楽団のファンの方々との両方にアピール出来ます。また口コミで来てくださるお客様が圧倒的に多いので、Facebookでの広告を出したりしています。


●参加型の企画について●
――こどもレセプショニスト、チラシの絵、テーマ曲の募集といった参加型の企画も特徴的ですが、募集はどのように行っているのですか?
梶川:年度初回の4月の公演でプログラムに応募用紙を挟み込み、楽器体験、こどもレセプショニスト、懇親会、こども奏者の中から第1候補、第2候補を選んで応募してもらっています。

安孫子:チラシの絵は前年度に募集をしており、4月の公演で応募作品を全て展示します。テーマ曲は応募作品の中から選ばれた曲をプロの方に編曲してもらって4月から一年間、毎回のコンサートの一曲目に演奏されます。各企画への応募には、応募動機も書いてもらっています。


――演奏に参加する子どももいますね。
梶川:「こども奏者」は、毎年12月の最終回に、10分ぐらいの曲に参加してもらいます。夏休みの早い時期にオーディションを行います。合格したら、楽団員のレッスンが1回あって、オーケストラの練習が2回あって本番を迎えるので、参加できる子のレベルは高いです。
参加型企画の年間スケジュールの流れ



●こども定期演奏会の魅力とは●
――昨今ではさまざまな「子ども向け」のクラシック音楽のコンサートがありますが、「こども定期演奏会」の特色はどんなところに持たせていますか?
梶川:子ども向けのコンサートは多種多様ですが、「こども定期」はクラシック音楽を聴く姿勢をきちんと育ててあげたいと考えています。ホールという特別な空間で、じっくりと耳を傾ける体験をしてもらいたいです。定期的にホールにやってくる子どもたちを、私たちも「小さい大人」として迎えることで、音楽を楽しむ豊かな聴衆を育てていきたいと思っています。


――最後に、「こども定期」のやりがいはどこにありますか?
安孫子:「こども奏者」出身者の中には、この演奏会での経験がきっかけとなってプロになった方々もいます。「こども定期」からホールに愛着を持ち、大きくなってからレセプショニストのアルバイトとして戻ってきてくれる方もいます。一緒にコンサートを作る仲間として成長してくれたことにやりがいを感じます。

梶川:「こども定期」に足を運んでくれた子どもたちの中から、さまざまな人材が育つと信じています。引っ込み思案の子どもが「こども奏者」のオーディションを受けて積極的になった、などのお話が親御さんから届くことがあり、やりがいを感じますね。そのお子さんにとって特別な機会になったのかなと思うと嬉しいです。クラシック音楽とは聴く人の人生を豊かにするものだと思います。多くの子どもたちにホールでクラシック音楽の生演奏を聴く機会を提供し続けたいと思っています。