Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:主催者インタビュー《子どもを連れてクラシック「音楽と絵本」コンサート》


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 ◉主催者インタビュー                              
  トリトン・アーツ・ネットワーク
「子どもを連れてクラシック
          『音楽と絵本』コンサート」
2015年9月26日(土)公演
お話いただいた方:トリトン・アーツ・ネットワーク 田中玲子様  高田美弥子様
                                                                              インタビュー日:2015年10月8日(木)
——今回取材させていただいた「子どもを連れてクラシック『音楽と絵本』コンサート」について、企画から当日までの流れを教えていただけますか。
トリトン・アーツ・ネットワークでは、毎年3月に「子育て支援コンサート(旧育児支援コンサート)」を行っています。このコンサートは、第1部では親子が別々に音楽を楽しむ企画になっています。子どもは4つの「音楽スタジオ」に分かれて楽器を間近に体験します。その間、親御さんは、ホールでコンサートをゆっくり楽しみます。子育て中には音楽をゆっくり楽しむ時間がなかなか取れない親御さんが多いので、大変喜ばれています。
第2部では、親子が一緒になって、「音楽と絵本」のコンサートを楽しみます。絵を巨大スクリーンに映し、物語に沿って音楽が演奏されるという公演です。ご出演くださる演奏家さんと絵本選びや選曲など、毎回1から一緒に考えていきます。出演者の方々とは、何度も打ち合わせを重ねます。1つの公演の準備に、おおよそ、1年半はかかるでしょうか。予算面で限りはありますが、演奏家の創意工夫や熱意のおかげで、いつも予想もしなかったような素晴らしい公演が出来上がります。それを1度きりで終わらすのはもったいないという思いがあって、今回は2009年に制作された「くものすおやぶんとりものちょう」を再演したのです。



——3月の「子育て支援コンサート」は大規模のようですね。多くの人員が必要だと思うのですが、当日のスタッフはどのように確保されているのでしょうか。
「音楽スタジオ」では4歳から6歳のお子さんをお預かりしますので、様々なことに配慮が必要な企画です。小さな子どもにとっては親と離れてお友達もいないところで音楽を体験するのは、勇気のいることだと思います。最初は泣いちゃったりしますよね。ですから、保育園に入ったばかりのお子さんでも集団生活に少し慣れた頃の年度末3月に開催しています。スタッフは各スタジオに10人以上必要です。トリトン・アーツ・ネットワークでは、「サポーター」と呼ぶボランティアスタッフを毎年募集しています。お子さんの手が離れた方や、時間に少し余裕のあるお仕事をリタイアされた方々が多いですね。第一生命ホールの周辺地域の方がほとんどですが、県外からお越し下さっている方もいます。この公演は、彼らの多くが関心をもって下さり、その協力があって実現している公演です。また、第一生命の社員さんも、当日はボランティアとして参加下さいます。



——多くのスタッフの指揮をとるのも工夫が必要ですね。
サポーターさんの中には、第1回の「育児支援コンサート」から続けてくださっている方もいて、彼らは当日の動きや情報の伝達といった必要なことを分かって下さっています。毎年、反省点や改善点を振り返りますから、経験も積み重なっていきます。頼れるベテランさんを筆頭にみなさんがまとまってくださるので、私たちも信頼を寄せています。



——トリトン・アーツ・ネットワークでは、3歳以下のお子さんを対象とした「ロビーでよちよちコンサート」も企画されていますね。こちらには、また違った工夫があるのではないでしょうか。
乳幼児から入場可能としている公演でも、実際に赤ちゃんが泣いてしまうと、親御さんは他のお客さんを気遣って会場から出られることが多いです。また、せっかく楽しむために来たはずなのに、他のお子さんと自分のお子さんのお行儀を比べてしまい、申し訳がなさそうに会場を後にする親御さんもいらっしゃいます。トリトン・アーツ・ネットワークでは、お客様にそんな思いをさせたくないという思いから、年齢によってコンサートを分けることにしました。「ロビーでよちよちコンサート」は3歳以下のお子さんにのびのびと安全に楽しんでもらえる企画です。



——お客様からの反響、例えばアンケートの回答結果はどのように反映されているのでしょうか。
インターネットを通したチケットの購入記録から、お客様の地域や性別、年代などの割合をみます。コンサートのプログラムに挟むアンケートでは、コンサート内容に関するお客様の生の声を寄せていただいています。例えば、「子育て支援コンサート」は、先ほど申しましたように、第1部で親子が別々に音楽体験をすることが特徴です。けれども、もしかすると、子どもを平日保育園や幼稚園に預けている親御さんが増えた昨今では、わざわざ子どもと離ればなれにしないで、ずっと一緒に演奏を聴くような企画の方が喜ばれるのではないかという迷いも私たちの間に生じていました。ところがアンケート回答によると、子どもには「音楽スタジオ」で特別な体験をさせたいし、別々に聴く体験があるからこそ、子どもと一緒に聴く時間もより満たされた気持ちで楽しめる、というような回答をいただいて、やはりよかったのだと自信を与えていただきました。お客様のご要望も、どんどん企画の内容に反映させていこうという思いでやっています。



——こうした子ども向けコンサートの宣伝については、どのようになさっているのでしょうか。
第一生命ホールがある地域近郊には、新聞折り込みのチラシを入れていますし、また、中央区立の全小学校と江東区豊洲の小学校、近隣の幼稚園でもチラシを配っています。小学校ではアウトリーチ活動を行っていますので、その体験とチラシを通して親御さんが公演を知る、という流れが多いようです。



——こうしたコンサートに出演した演奏家の方たちの意識も変わってきそうですね。
初めて子ども向けのコンサートに携わられたという演奏家の方が、企画の考案を含めてとても楽しんで下さったり、また、他の子ども向けコンサートにも足を運んで勉強してくださったりと、本当に、どんどん熱意が膨らんで、伝播していくようです。お客様と、演奏家との相互作用、相乗作用が公演を通して起こっていると感じます。




——企画が長く続く秘訣は、過去の成功の形を守ることだけでなく、毎回手間を惜しまずに、丁寧にお客様の気持ちに寄り添ったコンサートを作っておられるところにありそうですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。