新型コロナウイルス感染症:大臣へ要望書を提出しました

一般社団法人日本クラシック音楽事業協会は、新型コロナウイルス感染症対策のための「文化イベント等の中止・延期などの対応要請」について、萩生田光一文部科学大臣及び梶山弘志経済産業大臣に宛てて、本日要望書を下記の通り提出いたしました。
なお、文化芸術振興議員連盟河村建夫会長にも明日提出する予定です。

クラシック音楽公演の中止・延期が相次いでいる現状は、実演家及びクラシック音楽業界を支えている小規模事業者・関連業者の存立にかかわる極めて深刻な状態です。

一日も早い収束のため、当会としてもできる限りの対策は講じつつ、我が国の芸術分野の衰退と文化産業の廃退を防ぐため、今後も国に対し支援を求めてまいります。




令和2年3月16日

文化芸術振興議員連盟 会長 河村 建夫 殿
文部科学大臣 萩生田光一  殿
経済産業大臣 梶山  弘志  殿
一般社団法人日本クラシック音楽事業協会
会 長   入 山  功 一

「文化イベント等の中止・延期などの対応要請」に関する要望書

安倍首相は、本年2月26日、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため掲題のイベント自粛を要請し、さらに、3月10日には同月19日までのイベント自粛の追加延期要請を行いました。

日本クラシック音楽事業協会は、クラシック音楽事業者の唯一の業界団体として、この自粛要請を受け入れる立場を表明し、会員各社は原則として当面の公演中止、延期の対応を行なっております。しかし、その結果、クラシック音楽の実演家及び音楽事業者は、当協会がかかわる公演だけでも740公演を超える演奏会が中止又は延期になるという未曾有の困難に直面しています。すなわち、この演奏会の中止又は延期により、実演家は多くの演奏会の機会を失って収入の途を断たれ、また、公演を主催・マネジメントする事業者もそれに伴い甚大な被害を被っているのです。その被害額は中止した公演のみで24億円を超えると推定されています。

生演奏を主とするクラシック音楽の演奏会は、あらゆるエンタテインメント分野に比して、そもそも演奏機会が限定されており、表現機会の喪失は実演家にとって大きな損失です。また、公演を主催・マネジメントする事業者もその殆どが資本力に乏しい小規模会社が支えております。そのため、政府が要望する自粛期間が長引けば、実演家及び上記事業者の存立に関わる極めて深刻な問題となります。

加えて、今般の自粛要請において、その成り立ちや形態が異なる公演や催し物が、一様にイベントとして具体的なガイドラインも示されないまま適用されている点につきましても問題があると考えております。一般的にクラシック音楽の公演会場は、広く天井も高く換気に優れ、その鑑賞スタイルは聴衆が着席して言葉を発しない静謐なものだからです。

政府におかれてはイベント自粛の英断を活かすためにも、社会経済へのダメージを可能な限り抑える対策を講じていただくよう要望いたします。この現状を放置することは、我が国の芸術分野の衰退と文化産業の廃退に直結するものと捉え、当協会として下記の件につき日本政府に適切な対応を求める次第です。

一、 公演の中止又は延期に伴って事業者に生じた損害に対して、これを補償する施策を具体的に講じていただくこと

一、 公演の中止又は延期に伴って演奏機会を喪失した実演家の損失に対して、これを適切に補填していただくこと

一、 公演中止、延期に伴い生活に困窮を来している実演家、破綻の危機に瀕している事業者に対する迅速な無利子融資等の救済策を実行していただくこと

一、 今般の事態が終息の兆しを見せ、鎮静化に向かう時点においては、日本政府として自粛要請解除の指針をいち早く表明していただくこと

(以上)