Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:公演レポート《 Concert for KIDS〜0才からのクラシック》


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 公演レポート◉                                 
             Concert for KIDS0才からのクラシック
201595日(土)公演

ユニークな編成とアーティストの笑顔が
クラシック音楽に0才のKIDSを迎える〜 
                                          
■場内には授乳室も 気配りあふれるコンサート
 Sony Music Foundationの企画制作で行われているConcert for KIDS~0才からのクラシック~はとても温かみのあるコンサートで、小さいお子様を連れたご家族の笑顔あふれる素敵な公演です。今回は全国各地で年間20公演ほど行われているうち、中野区 “なかのZERO”で行われたコンサートに足を運んできました。
 このコンサートは、“0才からの~”と謳っているだけに、ホワイエから工夫に溢れています。たとえば、コンサートで使われる楽器のイラストが描かれたパネルや、コンサートのマスコットキャラクターのパネルが、子どもたちの目線の高さに置かれています。知っている楽器のイラストを見つけて嬉しそうにしている子どもたちや、親子でキャラクターのパネルの前で記念撮影をしている姿が多く見られました。場内には、授乳室やオムツ替えのスペース、ベビーカー置き場が設けられ、設営から親子連れへの気配りが感じられます。客席に入るとたくさんのご家族からの楽しそうな声があちこちから聞こえてきます。そして、いよいよ待ちに待った演奏が始まります。
開場すると、キャラクターのパネルと記念撮影を楽しむ親子も

ロビーではパネルで楽器を紹介

開演前、ステージにはキャラクターがお出迎え




■ユニークな楽器編成で、クラシックの名曲から童謡まで
 今回はソプラノ(鵜木絵里さん)・トランペット(上田じんさん)・マリンバ(浜まゆみさん)・ピアノ(新居由佳梨さん)という一風変わった楽器編成でプログラムが組まれています。曲目は《くるみ割り人形》より〈行進曲〉、《トルコ行進曲》、オペラ《ラ・ボエーム》より〈私が街を歩くと〉や《熊蜂の飛行》、《トランペット吹きの休日》などのクラシック音楽の名曲が並びます。一方で、『どんぐりころころ』や『アイアイ』などの童謡なども含まれています。全16曲で構成され、それらがちょうど1時間という限られた時間の中で、次々と演奏されていきました。
曲と曲の間には楽器紹介や曲紹介が、ソプラノの鵜木さんによってわかりやすい言葉で説明されました。
今回の編成は、ピアノ、ソプラノ、トランペット、マリンバ



■客席の子どもたちが演奏に参加できるコンサート
 通常の大人向けのコンサートでは、客席が真っ暗になるものが多いですが、照明が1曲の間に徐々に暗くなったり、また完全に暗く落とすこともないなど、子どもを不安にさせたり驚かせたりしないための工夫が多く感じられました。
また、子どもたちが間近で音を聴き、音楽を感じられるようにと、アーティストたちがステージから下りて演奏したり、客席後方から登場したりする演出もあり、子どもたちは顔だけでなく身体ごとアーティストの方へ釘づけになっていました。
さらに、音楽を聴く時間だけでなく、一緒に童謡を歌ったり、手拍子や足踏みで一緒にリズムを刻んだりするなど、アーティストと共に子どもたち自身も演奏に参加する時間も設けられていました。終演後には「手を叩くのが楽しかった」と言う幼稚園児の男の子や、「リズムで体を動かしていました」と10ヵ月児のお母様がお話してくださるなど、反応の大きなコーナーでした。子どもたちにとって、音楽を聴くことはもちろんですが、一緒に音楽を作る体験は音楽そのものを感じる心の育成に欠かせないことでしょう。それを上手くプログラム内に組み込んでいることが感じられました。
子どもたちが参加できるプログラム『トルコ行進曲』は、このコンサートの定番曲!毎回のように演奏され続けており、「前回できなかったリズム打ちが、できるようになっている!」など、子どもの成長を見守るご両親にとっては成長を実感する機会となっているようです。
会場内をアーティストが歩きながら演奏する場面も



企画制作者とアーティストが力を合わせて作り上げる
 演奏中に赤ちゃんの泣き声がしたり、客席の子どもたちが演奏に参加したりする子ども向けのコンサートには、アーティストの方々の協力がなくては成り立ちません。
 アーティストたちは「大きな声をあげたり、動き回ったりしても、それが子どもたちの『楽しい』という反応です。それを見て、私たちもエネルギーをもらっています」、「会を重ねつつ、企画制作者さんと出演者である私たちとで一緒にやり方を考えながら、子どもたちにとってよりよいコンサートを作り上げています」とお話してくれました。実際、客席から見ていてもアーティストの方が、子どもたちとのふれあいを心から楽しんでいる様子が伝わってきました。アーティストと企画制作者との距離もとても近く、終演後の楽屋で話している様子からは、企画制作者からの依頼でだけでなく、アーティストからの提案も組み込みながら作られているコンサートであることが伝わってきました。



子どもは音楽を楽しみ、大人は子どもの成長を実感する
 クラシックの演奏会の中でも、0才児から入場できるこのコンサートは多くありません。「なかなか小さな子どもを連れて入れるコンサートがないので、一緒に聴くことができて嬉しい」とお話してくれたクラシック音楽好きなお父様や、「小さな子から聴くことのできるコンサートを探していたら見つけたので、足を運びました」というお母様もいらっしゃいました。
 また、ピアノを始めたばかりの男の子を連れたお母様は「かっこいい、かっこいいと聴きながら言っていたんです」と、子どもが本物を見ることの良さを再確認できるようなエピソードを聞かせてくれました。
 そして、驚いたのは10ヵ月の女の子を連れたご夫婦のお話です。なんとお子さんは10ヵ月にして今回のコンサートが3回目になるそう。「初めてのコンサートの時には、何にもわかっていないようだったけれど、今回は身体を動かしていたり、好きな曲の時には食い入るように見ていたりして、成長していることを感じました」と笑顔でお話してくださいました。コンサートに足を運ぶことで、子どもの成長を再確認することもできるようです。
 コンサートの作り手の皆さんの想いがつまった“Concert for KIDS~0才からのクラシック~”は子どもたちが音楽を耳で、身体で楽しむことができ、ご家族が音楽を通して子どもたちの成長を感じることのできる素敵なコンサートでした。







主催:中野区/なかのZERO指定管理者
協賛:ソニー株式会社/ソニー生命保険株式会社
企画制作:Sony Music Foundation