Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:主催者インタビュー《東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」》


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 ◉主催者インタビュー                              
東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」
20157月4日(土)公演

お話いただいた方:
サントリーホール 企画制作部 プログラミング・ディレクター 安孫子実奈様 (写真:左)
東京交響楽団 支援開拓本部 本部長 梶川純子様 (写真:右)
                                                                         インタビュー日:2015年8月12日(水)


●こども定期演奏会のはじまり●
――長い歴史を持つコンサートという印象を受けましたが、どのようにはじまったのですか?
安孫子:サントリーホールでは1986年開館当初から次世代を担うこどものためのコンサートを開催してきました。一方東京交響楽団は1978年から「少年少女のための夏休み・春休みコンサート」を始めてオーケストラの聴衆層を拡大してきました。東京交響楽団の当時の専務理事・楽団長の金山茂人氏と事務局の中塚博則氏が「こどもを対象とした新しいタイプのコンサート」を考え、サントリーホールに提案されました。そのコンセプトに、サントリーホールはすぐに賛同し2001年のプレ公演を経て、2002年から開始しました。
開始から12年間は指揮者の大友直人さんが年間を通して指揮とMCを務めていました。子どもたちが定期的にホールに来て演奏会に親しめるようにと、プログラムの構成などはもちろん、「国」や「時代」など、音楽に関連することも知ってほしいという願いから、毎年テーマを決めて開催してきました。「定期的」ということで春夏秋冬1度ずつお越し頂けるよう、年4回としました。現在は大人向けの定期演奏会と同じように、指揮者を毎回変えています。一方統一感も大事にしたいので、アナウンサーの方にMCをお願いしています。



ーー後援に東京都小学校音楽教育研究会と港区教育委員会がついていますね。
安孫子:東京都小学校音楽教育研究会には、以前にファミリー向けコンサートの学校での配布などでご協力頂いたことがあり、2011年度から、港区教育委員会は、サントリーホールの地元、港区の小学生に聴いてほしいという願いから後援を申請し初年度から、応援して頂いております。



●主催者として工夫していること● 
――来場の子どもたちはコンサート中静かに集中して聴いているという印象を受けたのですが、主催者としてコンサート中に気をつけていることはありますか?
安孫子:奏者の思いや音楽の魅力等の話を挟み、子どもたちの聴くモチベーションを高めています。子どもは先入観がないので、知らない曲でも受け入れることが出来るようです。

梶川:子ども向けだからといって選曲を分かりやすい名曲だけにするといったことは特にしていません。「こども定期演奏会」の開始当初から大友直人さんが大切にされていた「子どもを子ども扱いしない」という精神が今も生きています。ただし1曲は長くても15分以内に収まるようにしています。


――大人向けのコンサートと違う点で苦労すること、また工夫していることはどのようなことですか?
梶川:対象年齢を過ぎた子どもたちはこのコンサートを卒業してしまうので、常に新しいお客様に来て頂かなければならないので、そこは苦労するところです。しかし、こども定期は東京交響楽団とサントリーホールの共催であるという点が大きな特徴です。ホールのお客様と、楽団のファンの方々との両方にアピール出来ます。また口コミで来てくださるお客様が圧倒的に多いので、Facebookでの広告を出したりしています。


●参加型の企画について●
――こどもレセプショニスト、チラシの絵、テーマ曲の募集といった参加型の企画も特徴的ですが、募集はどのように行っているのですか?
梶川:年度初回の4月の公演でプログラムに応募用紙を挟み込み、楽器体験、こどもレセプショニスト、懇親会、こども奏者の中から第1候補、第2候補を選んで応募してもらっています。

安孫子:チラシの絵は前年度に募集をしており、4月の公演で応募作品を全て展示します。テーマ曲は応募作品の中から選ばれた曲をプロの方に編曲してもらって4月から一年間、毎回のコンサートの一曲目に演奏されます。各企画への応募には、応募動機も書いてもらっています。


――演奏に参加する子どももいますね。
梶川:「こども奏者」は、毎年12月の最終回に、10分ぐらいの曲に参加してもらいます。夏休みの早い時期にオーディションを行います。合格したら、楽団員のレッスンが1回あって、オーケストラの練習が2回あって本番を迎えるので、参加できる子のレベルは高いです。
参加型企画の年間スケジュールの流れ



●こども定期演奏会の魅力とは●
――昨今ではさまざまな「子ども向け」のクラシック音楽のコンサートがありますが、「こども定期演奏会」の特色はどんなところに持たせていますか?
梶川:子ども向けのコンサートは多種多様ですが、「こども定期」はクラシック音楽を聴く姿勢をきちんと育ててあげたいと考えています。ホールという特別な空間で、じっくりと耳を傾ける体験をしてもらいたいです。定期的にホールにやってくる子どもたちを、私たちも「小さい大人」として迎えることで、音楽を楽しむ豊かな聴衆を育てていきたいと思っています。


――最後に、「こども定期」のやりがいはどこにありますか?
安孫子:「こども奏者」出身者の中には、この演奏会での経験がきっかけとなってプロになった方々もいます。「こども定期」からホールに愛着を持ち、大きくなってからレセプショニストのアルバイトとして戻ってきてくれる方もいます。一緒にコンサートを作る仲間として成長してくれたことにやりがいを感じます。

梶川:「こども定期」に足を運んでくれた子どもたちの中から、さまざまな人材が育つと信じています。引っ込み思案の子どもが「こども奏者」のオーディションを受けて積極的になった、などのお話が親御さんから届くことがあり、やりがいを感じますね。そのお子さんにとって特別な機会になったのかなと思うと嬉しいです。クラシック音楽とは聴く人の人生を豊かにするものだと思います。多くの子どもたちにホールでクラシック音楽の生演奏を聴く機会を提供し続けたいと思っています。