Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:公演レポート《日本フィルハーモニー交響楽団夏休みコンサート》


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 公演レポート◉                                 
日本フィルハーモニー交響楽団夏休みコンサート
2015718日(土)〜82日(日)公演

〜40年以上の歴史ある子ども向けコンサート、 
 今年も関東圏で17公演開催〜 
                                          
 718日から82日にかけて、日本フィルハーモニー交響楽団による子ども向けの「夏休みコンサート」が開催されました。首都圏で12日間、17公演が行われ、連日家族連れで賑わいました。期間の前半と後半では指揮者が交代し、726日までは園田隆一郎さん、728日以降は三ツ橋敬子さんが指揮台に上がりました。今回クラシック音楽事業協会では、731日に相模女子大学グリーンホールで行われた公演を取材しました。この日のチケットは完売で、開場前から多くの親子がホールの前に集まり、コンサートに対する期待が伝わってきました。


開演前から溢れる期待感
 開演時間は14時でしたが、お客さんへの歓迎の気持ちを込めて、開演前の1315分からロビーにて楽員による「ウェルカムコンサート」が行われました。J.S.バッハ作曲《2つのヴァイオリンのための協奏曲》より第2楽章と、サンサーンス作曲《動物の謝肉祭》より「白鳥」が楽員によるトークを交えて演奏され、子供たちは間近で聴くチェロやヴァイオリンの音色に耳を傾けました。


いよいよ本番

 「夏休みコンサート」は3部構成で行われ、第1部のオーケストラ曲の演奏の後、15分の休憩が入り、第2部ではバレエ、第3部では子どもに人気のある歌が演奏されました(第2部と第3部の間は休憩なし)。オーケストラのチューニングが終わり、指揮者の三ツ橋さんが入場すると、子どもたちの多くは女性の指揮者を見るのが初めてだったからでしょうか、目を輝かせてその様子を見つめていました。

【第1部】
 第1部のプログラムはベートーヴェン作曲の交響曲第5番「運命」、ブラームス作曲の《ハンガリー舞曲》第5番、ビゼー作曲の《カルメン》より「闘牛士の行進」、ホルスト作曲の組曲《惑星》より「ジュピター」。どの曲も“これぞオーケストラ”という名曲ばかりで、子どもたちは食い入るように聴き入っていました。
 曲間には司会の江原陽子さんが曲やオーケストラに関するわかりやすい解説がありました。2曲目のブラームス《ハンガリー舞曲》第5番では、指揮者の役割についての説明がありました。曲の冒頭を、1回目は通常のテンポで、2回目はテンポや音量に変化をつけて演奏し、身体と指揮棒の動きでオーケストラに音楽を伝える指揮者の役割が、わかりやすく解説されました。
ホルストの「ジュピター」に入る前には、この曲ではティンパニが2組使用され奏者も2人いること、またティンパニが打楽器としてリズムを刻むためだけではなく、旋律主題を演奏するためにも用いられていることが実演を交えて説明されました。2人のティンパニ奏者が旋律主題を手を交差させて演奏する様子に歓声をあげる子どもも見られました。

【休憩】
 第1部が終了し、15分間の休憩に入ると、プログラムに書かれた楽曲解説を熱心に眺める子どももいて、オーケストラへの関心が高まっていることが窺えました。解説にはすべてふりがながふってあり、子どもでも読みやすいように工夫されていました。ロビーでは日本フィルオリジナルのTシャツと公演の曲目を収録したCDが販売され、多くの方が記念に購入されていました。

【第2部】
 第2部では、スターダンサーズ・バレエ団の鈴木稔さんが“子どもにも大人にもわかりやすく”演出・振付した「日本フィル夏休みコンサート2015版」の《くるみわり人形》が上演されました。ステージの前方を使ってダンサーが本格的なバレエを披露し、キラキラしたかわいらしい衣装や優雅な踊りに引き付けられた子どもも多かったようでした。



【第3部】
 続く第3部は、子どもたちが大好きな曲を歌う会場参加型。第2部まで司会として登場していた江原陽子さんが歌を歌い、会場をリードしました。江原さんは東京芸術大学の声楽科に在学中からNHKの教育番組でも活躍されていた方で、子どもの心を掴んで離さない演出に会場全体が夢中になっていきました。1曲目はトトロの「さんぽ」を元気に歌い、次は「ようかい体操第一」。指揮台の上でジバニャンの被り物をかぶった三ツ橋さんが「ようかい体操」を踊ると、大人からも子供からも歓声が上がりました。その後は「アナと雪の女王」より「Let It Go~ありのままで~」、「勇気100%」と続き、楽しい演出に大興奮のまま本編が終了しました。アンコールでは、三ツ橋さんが「アナと雪の女王」の「オラフ」の被り物をかぶって《ラデッキー行進曲》を演奏し、子どもたちもリズムに合わせて一生懸命手拍子していました。





子どもがクラシックコンサートに親しむきっかけに
 終演後は指揮者と楽員を囲み、ロビーで懇談会が行われました。子どもたちは、「どうやったらヴァイオリンがうまくなりますか」、「コントラバスはどうして大きいのですか」など、熱心に質問していました。また、コンサートの曲目を収録したCDのサイン会にも長蛇の列ができていました。


 休憩と終演時に、来場された親子にインタビューを行いました。クラシックコンサートには初めて足を運ぶという親子も多く、「子どもが楽器を始めたので生のクラシック音楽コンサートを聞かせてみたいと思った」ことや、「有名な曲が多かった」ことが今回のコンサートに来場したきっかけになったようでした。また、子どもたちからは、「オーケストラの楽員のような演奏ができるようになりたい」という声や、「バレエがとてもよかった」という声が聞かれ、それぞれの子どもたちが様々な思いでコンサートを楽しんでいたことが窺えました。終演後も子どもたちは三ツ橋さんと写真を撮ったりロビーでバレエの真似をしたりしていて、このコンサートが夏休みの楽しい思い出の一つとなったようでした。




主催:公益財団法人 日本フィルハーモニー交響楽団
共催[7/31公演]:公益財団法人 相模原市民文化財団
協賛:日清製粉グループ
後援:文化庁、相模原市教育委員会[7/31公演]